【2008.冬】
当地では、大晦日と元旦に雪が降りましたが、おおむね穏やかな天候の正月を迎えることができました。暮れには、昨年の世相を言い表す漢字として、「偽」という言葉が発表されました。建設産業界でも耐震偽装の影響により、景気に暗い陰を落としていることはいうまでもありません。
原油高による影響も懸念されるところですが、平成20年度の国の公共事業費は、昨年度比マイナス3.1%の6兆7351億円ということです。机上の論理とは言いたくありませんが、本当に災害大国であるこの国の安全安心が、保たれるのだろうかと心配になるところです。
今年の干支は、「子」です。昔から家にいると繁盛し、天井を駆け回る音を聞くと良いとされていたといいます。非常に繁殖力に優れていて、家の繁栄やひとの幸せを司る力を有する生き物ともいわれています。十二支のスタートの年でもあり、ただ駆け回るのではなく、完走を目指していきたいものだと思います。
高校サッカー選手権で優勝した流通経済大学付属柏高校ですが、チームを率いる本田監督は、赴任されたとき、どうしたら強くなれるか考え抜いたそうです。技術を鍛えることは、全国のどのチームも行っている。そして、たどり着いたのが、ボトルネック理論ということでした。個々の熟成と向上はもちろん必要であるが、「隘路を通る経験を積まなければ力を発揮できない」ということだと思います。今年は、勝利を目指して狭い道を突き進む一年にしたいと考えます。


【2008.春】
今年の桜前線は、あっという間に通り過ぎ、清々しい新緑の季節が早めにやってきそうです。
この春は、期限切れとなった揮発油税(一般でいうガソリン税)の暫定税率維持と合わせて、道路特定財源の一般財源化の問題で大騒ぎでした。大方の住民の気持ちとは違い、全国知事会などでは緊急大会を開催し、復活要求を訴えるという状況になりました。当然ながら、建設産業界では発注がストップし、不安の中での新年度を向かえることとなりました。
そんな中、ここ大崎市では市の補助を受け、大崎市建親会と財団法人宮城県地域振興センターが
『大崎市建設産業の最近の動向と今後の課題』という報告書をまとめました。今おかれている現状を客観的に整理するとともに、課題の認識を深め、その対応への取り組みを考えるものです。そこには、大きく3つがあげられ、1)本業強化:自助努力による経営改善、2)企業間連携等による経営規模の適正化、3)新分野への進出等による新たな収益確保などが盛り込まれました。
いずれも、ハードルは高いものが有るとは思いますが、自らが前向きに取り組まなくてはならないものです。
地域の企業が技術を持って社会資本整備に貢献し、先が不透明な状況にあっても、これまでどおりに、災害時等への対応や普段の社会資本の維持管理に力を発揮していかなければならないと感じます。それが、地場産業でもある私たち地域建設業の役割であると思います。


【2008.夏】
異常気象ともいえる状況が多発しております。東京では、局地的豪雨により、下水道内の水位が一気に上昇し、管内で作業をしていた5人が流されてしまいました。結果は、死亡事故につながってしまった訳ですが、判断が難しかった面もあるかもしれません。
私たちの地域では、近い将来に大規模な宮城県沖地震が発生するだろうといわれています。そんな中、6月14日に岩手・宮城内陸地震という大きな地震にみまわれました。緊急といいながらも、復旧の手続きには手順があるようで、災害復旧に向け、国、県、市町村の速やかな予算措置が望まれます。地元地域の建設団体として、自治体とは緊急時の「災害等応急対策の協力に関する協定」を結んでいます。当日は、災害対策本部に詰めて対応につとめました。今も残る地震の爪痕をみるにつけ、改めて自然の猛威に恐怖と驚きを感じています。
昨年度末に、宮城県では建設産業の振興施策を効果的、体系的に推進していくため「みやぎ建設産業振興プラン」なるものがまとめられました。この内容は、経営力と技術力に優れ、意欲と能力のある建設業者が、地域住民と良好な関係を築きながら協働し,活躍できるような環境を整備していくことが必要不可欠であるとの考え方により検討されたものです。掲載されている「建設業振興に関する一般県民100人アンケート」の中で、建設業者が、地域密着型経営を展開し、地域住民と良好な関係を築きながら協働していくことについての質問に対して、驚くことに92%の人が必要と答えておりました。
災害時等はもちろんですが、普段から地域とともに活動し、地域に愛される企業とならなければなりません。「市内統一清掃」、「献血活動」、「道路クリーンキャンペーン」など、住民のためにと思い行っていることが、いずれ自らのためになるのだと思っています。


【2008.秋】
彼岸過ぎには、秋晴れの日が続いていました。しかし、今後は一雨ごとに寒くなっていくのだろうと思われる時期になりました。
朝日新聞の一面に、「地方の道路 規格緩和」という記事が掲載されました。交通量が少ないのに道幅が広く、人通りがほとんどないのに歩道が両側にある。そのような道路造りの要因のひとつに、国の道路整備の指針「道路構造令」があります。それに伴う全国一律の規定を緩め、地域の実情に合わせて造れるように改正するといったことが今回の方針のようです。地方が独自の基準で整備すれば、従来の構造令に従った道路と比べ、建設費や工事期間を圧縮する効果が望め、逆に整備エリアは広がることが考えられます。しかし、自治体の責任が重くなり、国の補助金を受けられるかといった問題からも、どれだけ積極的に取り組むことができるのかはこれからの問題だと思います。
(社)宮城県経営者協会大崎支部では、今年度、経営者(幹部社員)として「卓越企業をつくる7つの原則」について勉強してきました。利益の質を高め、戦略と管理を同時追求し、着眼点の独自性が経営理念に体化する。そして、ヒット商品・ブランドの構築が売上の壁を破る。さらには、管理会計を使いこなし、経営者は、「エクスプローラー」たれといった内容を議論してきました。いずれも、簡単に言い表せないものではありますが、基本となる「独自性を生む理念」を社員全員とともに、企業の本質としたいものです。