【2010.冬】
三が日は雪で大荒れとなってしまい、建設産業としてはあわただしい正月を迎えました。今年の干支は寅ですが、虎は千里を駆けるといいます。虎のように勢いよくとはいかないまでも、ゴールを目指して駆け抜けていきたいものです。
2010年度の国の公共事業費は、昨年度比マイナス18.3%と過去にないものとなり、5兆7731億円になるようです。1978年以来、32年ぶりの低水準です。「コンクリートから人へ」といった理念がいわれておりますが、「人の命を守るコンクリート」が数多く存在することも忘れてはなりません。
経済再生のためには、内需主導の景気回復を実現しなければなりません。地域・地方において、失業対策、不況対策、地域経済対策は早急な課題です。この「中心的な役割を担うのが建設産業である」という思いで、事業を続けていきたいと考えます。
東北楽天ゴールデンイーグルスの野村克也前監督は、講演会等で「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」という話をされます。負けるときには、負けるべき理由があるのだから、原因を分析しなければならない。また、勝っているときには、なかなか反省しないものだが、それを忘れてはいけない。ということだと思います。この一年は、そのような意識を持って望みたいものだと思います。


【2010.春】
この春は、行ったり来たりの気候・気温となり、体調の管理も大変な状況でありました。
連休前になり、やっと桜が咲き始め、春らしい陽気になってきました。
昨今の政治家は、グローバリズムになびいているのではないでしょうか。「市場原理主義、規制緩和、小さな政府、公的社会政策支出は最小化する」これが、新自由主義グローバリズムの基礎となる主張です。この新自由主義の導入により、金融改革、財政再建至上主義、特殊法人改革の小泉構造改革が展開されました。その結果、日本は格差社会となり、日本の地域社会は崩壊しました。そして、不況は長期化し、失業者が急増しました。さらには、公共事業の削減によって全国の地方経済は悪化したのです。
このような環境下にあり、ここ数年、そして、現在もマスコミの公共事業叩きは執拗です。初めは、「不必要な公共事業がある」という言い方をしていましたが、その後はあたかも、公共事業そのものがムダであるかのような言い方に変わってしまいました。その「ムダな公共事業」という言い方も、いつの間にか「公共事業はムダ」になってしまいその役割も議論されないまま、削減に拍車がかかっています。
日本経済の再生のためには内需主導の景気回復を実現しなければならないと考えます。ムダな事業の判断も難しいところではありますが、回復の中心的役割を担うのが建設産業であります。建設産業の再生なくして、日本経済がよみがえり、地方の活性化がはかられることはないと思います。「失業対策、不況対策、地域経済対策」は、待ったなしなのです。


【2010.夏】
今年の夏は、8月の日本海周辺海域の海面水温が、1985年以降で最も高く平均海面水温の平年差は、+1.2℃と太平洋高気圧に広く覆われたため、これまでにない猛暑となりました。厳しい残暑は続いていますが、北日本では、少し朝晩の涼しさが感じられるようになりました。しかしながら、台風の動向も気になるところです。
最近の経済の停滞の中、経済成長がなければ資本主義は成り立たないと考えますが、なかなか成長軌道に乗せられないのが現状であると思います。日本の新たな基幹産業として、建設産業の発展をはかることは、完全雇用政策を実施すると共に、内需重視経済に方向転換することができ、好循環の出発点になると考えます。
日本の建設業は、いま大きな転換期を迎えています。そして、様々な課題に直面しています。第一は、古いしきたりからの決別です。第二に、量的な減少、建設市場の質的な変化に対応するべく経営改革を進めていかなければならないということです。第三に、供給過剰、競争の激化、ダンピング受注の増大などに対応しつつ、建設産業を守り抜く努力を行っているということです。第四に、若年労働者の確保に努めていかなければならない。第五に、国際化を考慮しなければならないということです。建設業はこれらの諸課題を乗り越えようとしています。
日本の全産業の中で、建設業の位置と役割は、さらに重要な局面を向かえていると思います。


【2010.秋】
10月に入り、秋晴れの日が多くなりました。しかし、気温の変化が激しく、体調管理に苦労している人も多いのではないでしょうか。
政権が交代し1年が経過しましたが、国の進むべき方向は、不安定感を増すばかりです。生活の安全安心、そして、それを構築する基盤整備は、地域の住民が等しく求めている不変のことだと思います。建設産業に限らず、新しい政策に期待と変化を望んでいたのですから、地に足をつけ実行してもらいたものです。
現在の地方・地域の建設業の実情も、厳しさを増すばかりです。これまでの日本は、外需依存・輸出産業主導の経済運営を行ってきましたが、この外需主導路線は破綻しました。これからの日本は外需依存から脱却し、内需と外需のバランスのとれた経済をつくりあげなければならないのではないでしょうか。今、内需型産業の強化・育成が必要であり、内需主導経済の柱になるのが建設産業であると思います。
この状況下で、いまは公共事業に投資すべきであると考えます。政治は、国民の生活を第一に重視すべきであります。昔から「治山治水」は政治の根本でした。鉄道や港、水の管理といった社会資本の整備は、政府の役割あったはずです。公共事業は、「広い意味での福祉」であり、これをまず整備する必要があるということは、あたりまえのことではないでしょうか。その上で、「直接的な福祉」を考えるのが道筋と考えます。
建設産業は、「間接福祉産業」ととらえてもよいと思います。