【2012.冬】
今年は、辰年です。龍は、天に向かって上昇するものの象徴と言われていますが、当社も、飛躍の年になるように歩んでいきたいと思います。しかしながら、年明けから気温の低い日が続いていますし、インフルエンザの流行も心配な今日この頃です。
これからの災害復旧・復興の妨げになりそうなのが、マンパワーの不足と言われています。被災地での技術者不足が叫ばれており、工事件数の増加により、監理技術者を含め施工管理技士等の専任が困難な状況にあります。さらに、工事が竣工し、次の工事に配置できる技術者を想定していても、追加工事や別途工事といった実態により、長期にわたり配置できうる工期の設定が、難しいということも実情としてあります。また、広範囲にわたる被災による地域格差(沿岸部と内陸部の実情等)があり、技術者が配置できても、下請等の協力会社、及び、職人不足により、入札に参加できない実情もあります。
一方で、職人、及び、建設労働者不足が顕著であり、震災前までは各企業が会社のスリム化を図り、建設業離れが進んだところで起きた災害に、他産業に転職した建設労働者は戻ってこないという現状があります。また、他県からの応援は来ておりますが、絶対数が少なく、首都圏等での仕事も多忙になり、現段階でも職人、及び、労働者を確保するのが困難な状況にあります。
非常に対応に苦慮する状況ではありますが、誠心誠意要望にこたえられるよう、努力してまいりたいと思います。そして、地域・地元の建設会社として『顔の見える復興工事』を施工してまいりたいと考えます。

【2012.春】
今年の春は、なかなかやって来ませんでした。気温が低く寒い冬が過ぎ、爆弾低気圧などもあり、桜前線もやっとたどり着いたのかなという状態です。
東日本大震災の発災から13か月と半月が経過し、本格的な復興はいよいよこれからというところです。
復興にも関連しますが、昨今は「まちづくり」「くにづくり」にビジョンがないと思われます。たとえば、道路整備に多大な影響を及ぼした「日本列島改造論」には、「先進国並みの豊かさを国民全体で共有する」ための国土開発をすすめるという明確なビジョンがありました。しかし、1980年代のバブル景気の豊かさを経験し、ある程度夢がかなってしまい「日本列島改造論」は、色あせてしまいました。その後20年、新しいビジョンは生まれていません。そして、「建設」というものに「反感」のみを抱き、「コンクリートから人へ」のようなスローガンを叫ぶようになってしまいました。大震災からの復興を掲げている今こそ、「建設についてのビジョンの明確化」を推進し、国土開発の方向性をみんなで共有することが重要と考えます。
そのようなビジョンを実現するためにも、私たちは安全安心をつかさどる危機管理産業として、ふるさとを愛する思いと使命感を持って、地域建設業の責務を果たしていかなければなりません。

【2012.夏】
梅雨は明けましたが、気温の高い日が続いています。ロンドンオリンピックが開幕を向かえ、テレビ観戦による寝不足や体調不良、そして、熱中症も心配されます。また、今年も豪雨や台風による災害にも、注意を払わなければなりません。
地震の発生から、1年4カ月(16カ月)が経過し、新たな様々な課題が表面化してきました。生コンクリートの供給不安もそのひとつです。復旧・復興工事が本格化するにつれ、骨材会社が生コン製造会社の増産依頼に対応できない状態であり、官民での対応が望まれています。
また、仙台市の南光台団地と鶴ヶ谷団地の被災2団地では、東北大学による調査が行われ、斜面に土を持って造成した「盛土」地盤に建つ住宅が全壊した割合は、山を削ってならした「切土」の住宅の26倍以上だったことが判明しました。しかし、盛土地盤の全てが危ない訳ではなく、盛土の厚さや旧地形の傾斜角、地下水位などが関係してくるということも説明されています。そして、複合的な要因で被害が拡大するメカニズムを解明し、現場の実情に合った効果的な対策を考えていくということのようです。
今後も、様々な検証が行われ、多くの問題・課題が山積することが予想されます。私たちも、身近なところから問題を洗いだし、長いスパンでの安全安心を構築していかなければならないことを改めて感じているところです。


【2012.秋】
秋晴れの日が多くなっておりますが、天候の変化は激しく日ごとに寒くなってきているように感じます。
ちょうど一年前の秋に、「復興した後に、地元企業が疲弊をしていたのでは、本当の意味での復旧・復興とはいえないのではないかと感じております。」ということを書いておりました。県内の現在の状況は、まさしく復興需要のおかげで、建設業は売上高が増になり、採算も改善され、11年度の倒産は10年度に比べ6割減ったということです。しかしながら、資材や人件費の高騰による採算悪化や特需の終了後の先行きを不安視する声も多くなっております。工事の受け手側である業者の状況を見定めたうえで、優先順位の高い工事から進めるべきではないでしょうか。どうしてもという場合には、柔軟に随意契約を活用することも必要と考えます。
東日本大震災の前から言われてきたことですが、コンピュータ依存の社会が進行しているように感じます。コンピュータでは、膨大な情報の集積ができます。そして、そのデータを分析し、これからを想定・シミュレーションするという作業ができます。それは、情報を集めること、それを使い仕分けすること、予測して指示することなどを仕事にしてしまっているということです。しかし、大切なことはたくさんあると思いますが、忘れていいものもあるのです。キーボードを打つデスクワークのみで仕事をした気にならず、一度経験しただけで記憶に残るような現場に出ることを忘れてはならないと思います。
震災は、もう一度仕事の本質というものを考える機会を与えてくれたのかもしれません。