【2014.冬】
 今年は、午年です。馬という生き物は、物事が『うま』くいくとか、幸運が駆け込んでくるといわれるように、縁起の良い動物として例えられることが多いようです。
 平成26年度の国の公共事業費総額が、5兆9685億円と発表されました。社会保障関係費が30兆円台ですから、5分の1程度ということになります。また、特別会計廃止に伴う形式的な上乗せ分を除くと、前年比1.9%程度の増ということになります。減り続けてきた公共事業費は、インフラの維持費等も考えるとまだまだ多くなったとは思えません。
 今年は、冬季オリンピックの年でもあります。今回は、ロシアのソチで開催されますが、8年前のトリノ五輪で金メダルに輝いた荒川静香さんの語った話です。コーチに「得点だけを重ねるのがフィギュアじゃない。個性を表現しろ」と言われ、「本当に自分が狙ってきたことは何なのか」と、何回も考えたそうです。『自分らしく人の心に残る演技を』そう誓ったところから、あの得意にしていた「イナバウアー」の演技にたどり着いたのだそうです。また、「本番はその一日に過ぎず、どれほど思いをかけて向き合ったかが大事」という彼女は、合わせて積み重ねの重要さも教えてくれています。
「鞍上人なく、鞍下に馬なし」という言葉がありますが、「乗り手も馬も、つまり人馬一体となって疾走する様」を表しているようです。これは、全員の協力があって事が成就するということに繋がっていると思いますし、今年は、社員や関係の皆さんが一体になれるように努力していきたいと考えています。


【2014.春】
 今年の春は、例年よりも早く訪れてきたような気がします。その分、暑い夏も早めにやってくるのではないでしょうか。
 ソチオリンピックが終わり,数か月が経過しましたが,心に残った言葉があります。フィギュアスケート男子の町田樹選手の話です。これまで、「あきらめなければ夢はかなう」という言葉に少し違和感を持っていた方も多いと思いますが、彼は「あきらめなければ得るものがある」と言いました。これは、例えそれが世間一般で言う成功とは違っていても、その人の人生にとっては、何物にも代えられない尊くかけがえのないものを得られるということであり、非常にしっくりくるなという感想を持ちました。
 1989年に元号が、「平成」に改まってから25年、四半世紀が経過しました。1995年の阪神淡路大震災などに続いて、2011年には東日本大震災が発生し、原子力発電所の事故も重なって、豊かな社会の脆弱さを見せつけられました。国際社会では、89年にベルリンの壁が崩壊し、91年にはソビエト連邦が消滅しました。さらには、2001年アメリカ合衆国で「9・11同時テロ」が起こり、リーマン・ショックや異常気象なども相まって複雑さを増しています。
 このような激変の中、震災以降の復興や再生は、新たな社会像を模索し、実践する過程に重なります。私たち建設産業に携わるものも、東北の再生が担う歴史的な意義を感じて仕事を続けていかなければならないと感じます。


【2014.夏】
 すっかり更新が遅れてしまいました。広島県安佐南区・安佐北区を襲った大規模な土砂崩れは、甚大な被害をもたらしました。緑井地区の山に面して建てられていた家屋は、大量の土砂にのみこまれ無残に破壊された光景が今も残っています。1週間以上経っても、思わず顔を手で覆いたくなるような光景が広がっています。しかしその裏には、広島の同業者よる献身的な活動もあったことと想像できます
 建設費が、21年ぶりに高騰しているとの記事が新聞に掲載されていました。1993年のバブル崩壊以来とのことです。建設産業では、いまだ人手不足や資材高が言われており、東京オリンピックの影響も相まって、全国的なトレンドとなっております。その対策として、外国人や女性の活用、あるいは無人作業システムの開発が行われつつあります。合わせて、長期のスパンで物事を考えた建設投資が必要ではないでしょうか。
 また、アベノミクスのもと景気の下支えをしてきた公共工事ですが、秋以降減速の可能性が高いといわれております。人材不足、技術者不足など、工程管理上もリスクがくすぶっています。これからは、内陸の建設業者としての見極めが、ますます大切になってくると考えています。
「運命が出会いをもたらすのではなく、出会いをやり過ごさぬ力が、運命を生む」と言った人がいます。まさに、逆境をもやり過ごさない力が、未来を創って行くのではないでしょうか。私たちも、与えられた出会いや環境をやり過ごさずに、丁寧に歩んで行ければと思います。


【2014.秋】
 毎週のように台風が日本列島に向かってきています。また、これまでも局地的な豪雨に見舞われた地域もあります。地域を守る建設産業として、道路や河川のパトロールを含めた警戒が必要と考えます。
政府は、消費増税後の景気の下支えとして、公共事業の前倒しを行いました。しかしながら、資材価格の上昇や人手不足により、効果が上がっていないというのが新聞等の批評になっています。建設産業に携わる者から言わせれば、人件費も含めた価格の高騰は十数年前に戻っただけであり、実体経済への影響を考えれば全産業の問題であると思います。
『つまづいたっていいじゃないか にんげんだもの。』これは、相田みつをさんの言葉であり、「相田みつを美術館」夏休み限定企画展示において、相田みつをさんの名言をいくつか取り上げ、その中のキーワードの文字を隠し、夏休み期間に来館した子ども達に自分なりの言葉を入れ込んでもらおうという企画をしたそうです。その中のひとつに、『まちがったっていいじゃないか こたえは一つではないのだもの。』とうい中学2年生の作品がありました。改めて、「決めつけず、失敗を恐れず、心を自由にして、のびのびと生きていこう。」と思うところです。
 内陸部では、震災復興が落ち着く今後が正念場と思いますが、地域建設産業として元気に前向きに進んでいきたいと思います。