【2015.秋】
9月11日未明、当地域の渋井川が決壊しました。平成27年関東・東北豪雨と命名された集中豪雨による災害は、これまでに経験したことのないものでした。渋井川の支流の河川沿線も含め、雨水排水の悪い地域は被害にあわれたようです。被災された皆様、そのご家族の方々に対しまして、心よりお見舞い申し上げます。
東日本大震災を経験し、災害対応は常日頃から考えていた地域ではありますが、災害の種類によっては対策が進んでいなかったのかと改めて感じさせられました。地震災害の時の停電や燃料不足とも違い、水が引かなければ現地にも到達することが困難な状況にあり、引き続きの降雨があれば二次災害等の心配をしながらの復旧作業となるなど、さらに考えさせられる状況がありました。いずれにしましても、地域の実情を一番よく知る地域の建設業者として活動しなければならず、再度の検討が必要と考えています。
私たちが携わっている建設産業は、ものづくりの職種です。様々な道具を使いものづくりに向き合っていますが、単純な道具を使うには、それを使いこなす技術が必要です。簡単なものはイージーのイメージですが、単純なものほど難しくシンプルになればなるほど技術が必要になり、それと同時に自分で自由にできる範囲、自分が自由になれる範囲が広がるのです。
様々な創作活動にも言えることですが、仕事に向き合うときに広がりを持つことにより、さらなるやりがいを感じられることになるのではないでしょうか。
【2015.夏】
これまで、不安定な天気が続いてきましたが、この夏はさらに気温の上下の差が激しい日が多くなりそうで、体調管理に努めなければと思います。
「今世紀最大の国家プロジェクト」と言われた新国立競技場デザインの国際コンクールが行われ、建築家ザハ・ハディド氏による「斬新」「大胆」「圧倒的」な設計により、2本の「キールアーチ」で屋根を支える未来的なデザインが特徴の流線形スタジアムが選ばれました。国際オリンピック委員会総会の中でもこのデザインがアピールされ、2020TOKIOオリンピック招致に繋がったとも言われています。その際、コストの問題は「現代日本の建築技術の粋を尽くすべき挑戦となる」という言葉に置き換えられ、現時点では2520億円の予算で、2019年5月の完成を目指すということで進められているようです。この事業費が適正なのか様々な議論を呼んでいるところですが、世界遺産のように長い歴史の中で後世へ伝えるメッセージとして捉えることはできないものでしょうか。この予算や今後の維持費があれば他の何かができるということではなく、この競技場をフルに活かし世界に誇る日本の財産と考えていければと思います。
荒井由美の曲「やさしさに包まれたなら」の中に、『目にうつる全てのものがメッセージ』というフレーズがあります。後ろ向きだったり、未来に目を開こうとしていない時には、目にうつるものは、ただのモノでしかないかもしれません。それが、ひとたび心持ちを前向き変えただけで、単なるモノや事柄が大切なメッセージになります。目にうつるものをしっかりうけとめて、そのメッセージを新たな力にして行きたいと思います。
【2015.春】
桜前線が意外と早く北上し、今年は各地の名所で準備が遅れ苦労しているようです。春本番といったところですが、東日本大震災から4年が経過し、「復興から再生へ」未だにスタートできていないない地域を見ると複雑な思いであります。
「人生は、思い通りに行く事ばかりではない。頭で考えてうまくいかない時は、とにかく体を動かして、汗をかいてみることだ。そうしたら、大概、自分の道は見えてくる。それでもまだ見えない時は、もう少し、汗をかいてみろ。」これは、NHK朝の連ドラ「マッサン」の中で、マッサンに向けた父親のセリフです。考える事はもちろん大事ですが、そこにばかり固執するとパソコンのフリーズ状態のようになってしまう事があります。身体を動かすことや汗を流すほどの時は、無心になれるので、そうした状態が解凍作用をもたらすのでしょう。
建設業で活躍する女性技術者・技能者の愛称を「けんせつ小町」と名付け、建設業界をあげて女性の活躍を推進しようという動きがあります。ある現場では元請業者を中心に、施工監督や作業員などで「チームなでしこ」を組織し、現場の運営に役立てているということです。「女性が働きやすい職場環境づくりは、男性も働きやすい」との思いもあり、今後、制度が整っていくかと思われます。
身体を動かし無心になること、意識を変えること、そして、本気になること。様々な取り組みのなかで、良い年度にしていきたいと思います。
【2015.冬】
今年の正月は、荒れた天気で始まりました。その後は穏やかというか、ここまで太平洋側では、大雪にはならない冬となっています。
暮れの衆議院選挙の影響で、1月14日にやっと2015年度の国の公共事業費が閣議決定されました。総額5兆9711億円となり、前年度当初予算と比べると、0.04%アップの微増になりました。これは、インフラの老朽化対策や災害対策に重点を置いたものであり、人手不足や厳しい財政事情を踏まえ、6兆円以下に抑えたとの説明がありました。
しかし、国土強靭化の議論の中から、自民党内部では災害に強い国づくりを目指し、新年度からの5年間で70兆円を投入し、橋やトンネルの修繕、自治体への補助制度の新設などを進めるといった声も出ているようです。さらには、市町村合併による交付税特例について、合併10年後に5年をかけてなくなるということだったものを総務省では、7割程度は継続して予算付けし、統廃合の難しいものをカバーしていくという政策を打ち出したということで、建設産業にとっては良いニュースも聞こえてきました。
今年は未年ですが、羊は「安泰と平和の象徴」と言われています。しかし、株式相場の世界では、「羊辛抱」と言われ、我慢の年でもあるようです。また、羊の群れはトラブルを嫌い、チームワークを好むともいわれていて、これは団結に繋がるということと捉え、社員や関係の皆さんと共に手を取り頑張っていけば良い年になると考えています。